植物における「P」の重要性

サイエンス

リン(P)はすべての植物に必要な必須マクロ元素です。特に、初期段階の根の発達・茎の強さ・病気に対する抵抗力・栄養の取り込み・花の形成・収量に重要です。植物の生長と発展のすべての側面は、明確にリンの可用性に依存しています。

リンは、光合成・代謝・栄養素の取り込みなど、植物の生長に必要な生化学反応をサポートする触媒として機能します。例えば、自然界で最も重要な化学反応である光合成は、光エネルギーを利用してアデノシン二リン酸(ADP)およびアデノシン三リン酸(ATP)という化学構造を生成します。これらの高エネルギーリン酸含有分子は、リン酸化と呼ばれるプロセスを用いて、必要なすべての生化学反応を促進し、内部エネルギー伝達をサポートします。苗木から開花ま​​での植物のライフサイクル全体を通じて細胞分裂を促進します。栄養分の取り込みも、ATP(エネルギー)によって促進される重要な機能です。このプロセスでは、植物細胞膜内外の浸透圧に対抗するために、栄養分を活発に輸送する必要があるからです。またATPはリンタンパク質・リン脂質・糖リン酸など、多くの重要な細胞成分の合成を可能にするエネルギー源でもあります。

リンが不足すると、植物が他の必須栄養素を取り込む能力が損なわれ、植物の健康状態・病気に対する免疫力・作物の品質・収穫可能な収量を大きく低下させる可能性があります。リンが不足した植物は、しばしば生育不良を起こし、葉が変色するなどの症状が現れることがあります。これはリンが不足すると、糖が蓄積してアントシアニン色素が発生し、時には赤紫色になるためです。

生産現場におけるリンの現実的な課題

リンは、作物の生産性を左右する最も制限的な栄養素の1つです。商業農業のために採掘されたリン鉱石の最大の自然鉱床は中国・ロシア・モロッコ・アメリカを含むいくつかの国に限定されています。このことは、世界中のほとんどの商業的農業肥料として無機リン酸肥料が使用されていることからも、大きな課題となっています。リン鉱石の世界的な供給量に限りがあることに加えて、リン酸に対する農業需要の増加により、植物に供給する持続可能な技術を見つけることは大きな課題であり、世界中の科学者がその解決に向けて積極的に取り組んでいます。

多くの研究により、土壌微生物の自然の力を利用することで、養分の利用効率と植物の養分摂取量を最大化できることが挙げられています。土壌微生物を利用することで、結合している栄養素を自然に解除し、栄養素を植物が利用できる形に変換し、植物のリン酸吸収量を大幅に増加させ、最適な生長・品質・収量を実現します。

ほとんどの培養土にはリンを循環させることのできる微生物が含まれていますが、現在ではリンの固定化機能に優れた MAMMOTH P (マンモスピー) などの有機微生物製剤が市販されています。植物の生産性を将来的に向上させるためには、持続的にリン酸を供給するための新たな生物学的解決策が必要となります。植物に微生物のバイオスティミュラント(有益なバクテリアなど)を供給することで、リンの吸収を大幅に増加させ健康・品質・収量を向上させることができます。今後100年以上にわたり、優れたリン酸固定化善玉菌のような革新的な生物学的技術の開発と採用が、植物の品質と生産性の向上を牽引していくものと思われます。また、機能性微生物接種剤は、次世代の緑の革命技術として、多くの作物で農業経営を支援し、農家が世界の食糧需要を満たすために生産量を増加させることを支援するでしょう。

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