サボテンに関する20の事実

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サボテン[CACTUS]とはサボテン科に属する、北・中央アメリカを中心に2000を超える種類のある植物の総称です。

インテリアとして、趣味として。たくさんの人たちに愛され続けるサボテンに関する驚きの事実を20個、ご紹介したいと思います。

1.「サボテン(Cactus)」という言葉の由来

サボテンは英語で「Cactus」といいます。これはギリシャ語「Kaktos」に由来し、元々は”アーティチョーク”、”とげのある植物”を指す言葉でした。

今日「Cactus」は狭義ではサボテン科の植物を指し、広義ではサボテンに似ている多肉植物も指します。当店でも販売しているユーフォルビアという多肉植物はサボテンとして扱われることもありますが、実はトウダイグサ科の植物なので厳密にはサボテンではありません。

トウダイグサ科ユーフォルビア属

2.サボテンは沢山の水を短時間で吸収する

サボテンの原産地は南北アメリカ大陸およびその周辺の島に限られます。やはりイメージの通り原産地は乾燥地帯が多く、雨が降ることが非常に少ない場所です。雨が降っても次に降るまでに何か月もかかったり、降った後も強い日差しにより短時間で土壌は乾いてしまいます。

つまりサボテンは雨が降った時に短時間で水を吸収する必要があります。水を吸収するチャンスは決して多くありません。したがってサボテンは可能な限り多くの水を吸収できるように浅い場所に根をはっていることが多いです。これは雨が降った時に根に到達する時間を短縮するためです。さらに広範囲に根を広げることでより大きな表面積で雨水を吸収します。

サボテンは水を蓄えます

3.サボテンの気孔は夜だけ開く

通常植物は、日中気孔を開いて呼吸を行います。植物が光合成を行うためには、二酸化炭素を取り込み酸素を放出することが必要不可欠です。しかしこの時、植物は気孔が開いているために蒸散し水分を失います(=気孔蒸散)。サボテンは雨が少ない環境で生育していることが多く、水分の保持は非常に大切です。

そこでサボテンはCAM(Crassulacean Acid Metabolism)と呼ばれる概念を導入しました。これは気温が低い夜間だけ気孔を開くというもので、夜間に二酸化炭素を蓄えて日中に放出することで光合成によりエネルギーを生産します。

4.サボテンには葉の代わりに棘がある

「葉」は光合成や呼吸を行う、植物にとって非常に重要な器官です。ですがサボテンにはご存知の通り葉がありません。サボテンが葉の代わりに棘を持つ理由が5つあります。

①保護

砂漠には多くの草食動物が生息しており、砂漠の植物を食料としていますが、サボテンもその例外ではありません。その肉厚な外見から様々な動物が集まってきますが、ここで棘が役に立ちます。棘があることで植物の防御機構として機能します。

棘は皮膚に触れると深く突き刺さり、どんな動物でも痛みを感じます。また刺された棘を皮膚から取り除くことが難しく二次感染を引き起こす可能性もあります。棘の中には一か所に複数の傷をつけるものもあります。

②集水

霧がかかる砂漠では棘が水を集めるのに役立っています。霧が棘に触れるとのちに水となって地表に降り注ぎます。その水をサボテンの根が吸収し蓄えるのです。

③空気を閉じ込める

空気の流れは水分のロスにつながりますが、棘はサボテンの周りの空気の流れを断ち切る働きがあり、水分のロスを防ぎます。

④日よけ

砂漠の気候は非常に暑いです。棘のおかげで日陰ができるので、日よけとしての働きがあります。

⑤繁殖

同じ種類の植物を新たに育てるためには繁殖が重要です。砂漠の強風で飛ばされた棘や動物に刺さった棘が、新しい場所で見つかることがよくあります。棘によって生育範囲が広がり、繁殖することで植物の命は引き継がれていきます。

5.サボテンの表面はワックス状になっている

湿度の高い場所で育つ植物は、蒸散しやすい表面を好みます。湿気やガスを逃がしやすい環境でなければ植物は腐って枯れてしまうためです。しかし砂漠は、灼熱の太陽と風によって水分がすぐに失われてしまう環境です。そのためサボテンはワックス状の皮膜で水分の損失を防いでいるのです。

サボテンの表面は蒸散を防ぐため被膜で守られている

6.サボテンは何年でも生きられる

観葉植物の多くは寿命が短いため、常に買い替えが必要です。何十年も生きられる植物を探しているのであればサボテン科の植物を検討してみてください。サボテンの平均寿命は10年から200年といわれています。サボテンは最小限の手入れで、大半の植物よりも長生きする植物なのです。

植物を幸せに、そして何年も生きられるよう以下のことを確実に行いましょう。

定期的な水やり

時期により1~3週間に一度水やりをしましょう。サボテンは水の与えすぎが根腐れの原因となるので、サボテンは水を与えすぎるよりは少ないぐらいが丁度いいでしょう。

十分な照明

サボテンは自然光が入る場所においてください。窓辺に長時間置くと日焼けや変色の原因となりますので避けてください。日中の暑さによっては日向と日陰を交互に配置する必要があります。

適切な用土

水切れの良い土壌を選びましょう。保水性の高い土壌は、根の腐敗の原因になることがあります。

温度

サボテンが健康で丈夫であるためには最適な温度が必要です。サボテンの多くの種類は5~40℃まで幅広く対応しますが、5℃を下回る場合はビニール袋を被せて保温するなどの対策を取りましょう。

7.サボテン栽培はものすごく時間がかかる

植物の中には数週間で芽が出て花が咲くものもありますが、サボテンはそうはいきません。サボテンを育てるには忍耐が必要です。

葉緑素であるクロロフィルはほとんどの植物の葉に含まれており、植物のエネルギー生産を行うのに役立ちます。サボテンは葉に葉緑素が含まれていないため、他の植物よりも生長が遅くなります。サボテンは厳しい環境下での水の節約と適応性に重点を置いているため、繁殖よりも生存に主眼を置いているのです。もしサボテンが葉を持っていたら、エネルギーの生産時に多くの水分を失うことになります。

もしあなたがサボテンを苗から植えたいなら、成長段階は以下のようになります。

サボテンの生長段階
  • 1ヶ月目

    この時期はあまり期待せず、土の中から苗がでてくるかどうかを観察することに専念してください。小さな棘が出始めることもあるでしょう。風通しの良いところで明るさを十分にとってください。鉢植えの上部1~2cmが乾き始めたら水やりをしましょう。

  • 6ヶ月目

    この時点では大理石より大きな株になっている可能性があります。育てているサボテンのサイズを見て、不安になる必要はありません。サボテンは他の植物に比べて成長が遅いことを思い出してください。

  • 1年目

    この時点ではあまり変化が見られないでしょう。サボテンはまだ同じサイズかもしれません。

    サボテンが大きくなってきたら鉢(底穴の開いたもの)を植え替えるとよいでしょう。大きな鉢に植え替えることは、生長を促す上で不可欠です。植替えをした後は直射日光に長時間さらさないでください。数時間から初めて毎日少しずつ日光をあてる時間を増やしていきます。

  • 1年目以降

    徐々に背丈の変化が見られるようになります。数年で花を咲かせるサボテンもあればサガロ(弁慶柱)のように初めて花を咲かせるまで35年かかるものもあります。

このように苗から生長したサボテンになるまでには長い時間がかかります。早く育てたいのであれば、ある程度生長しているサボテンを購入するのが良いでしょう。

生長するサボテン

8.サボテンは蟻をボディーガードにしている

草食動物を寄せ付けないためのサボテンの第一兵隊は”棘”です。サボテンの棘は人間を含む大型の動物を遠ざけるのに効果的ですが、小動物やダンゴムシのような生き物は、針が小さくサボテンの隙間をすり抜けてしまうため、効果的に駆除することができません。

サボテンは蟻を誘うために蜜を分泌します。砂漠は非常に暑く水が少ないため、蟻は簡単に誘われて群がります。誘われた蟻は、棘の隙間に潜む小動物や虫を駆除します。また、病気を引き起こして枯らしてしまうような細菌や菌類からも、蟻によって守られているのです。

9.サボテンは緑色とは限らない

ギムノカリキウム(緋牡丹)のように、緑が主体ではなく赤や黄色など様々な色を持つサボテンが存在します。これは葉緑素が欠如した突然変異体ですが、ギムノカリキウムにもエネルギー生産のための葉緑素が必要です。この植物は葉緑素を生産するほかのサボテンと接ぎ木した場合のみ生き残ることができるのです。特定の植物ではなくどんな種でも問題はありません。

ギムノカリキウム(緋牡丹)

10.サボテンは必ずしも砂漠で育つとは限らない

砂漠に分布しているイメージが強いサボテンですが、砂漠以外でも生長する可能性があります。熱帯地方はもちろん、アルプスのような雪山でも十分に生きていけるのです。ご存じの通りサボテンは適応力の高い植物で、異なる気候に適応することができるのです。

山岳地帯

山は気候が厳しくほとんど雨が降りません。しかしサボテンは雪から水分を集めることができます。雪は棘の上に落ち、溶けた水が植物の根から吸収されます。山のサボテンは強風や霜のような厳しい天候から守るための毛むくじゃらの棘を持っています。このような地域の植物は、水分の損失を防ぐためにワックス状のコーティングが施されています。

熱帯気候

砂漠の平均気温が18℃であるのに対し、熱帯地方では20~25℃で定期的な雨を伴うことが多いです。熱帯地方でサボテンをうまく育てたい場合は、以下の事を確認しましょう。

  • プラスチック鉢ではなく粘土の鉢で育てること。プラスチック鉢は保水性が高く、湿度の高い環境では植物にとって不利になります。
  • 土は壌土をベースに馬糞や腐葉土などのたい肥を混ぜ、栄養を与えます。
  • 根が呼吸できるように粗めの砂、砂利、パーライトのいずれかを使用します。
  • 直射日光の当たらない場所に植物を置きます。
  • 水やりは夏場は週1回、それ以外の季節は2,3週間に1回程度が目安です。

11.刺座(アレオーレ)1つで何輪の花が咲くのか

刺座[しざ] (Areole[アレオーレ])とはサボテンには必ず存在する棘の付け根にある白い綿毛の部分のことです。棘の無いサボテンにも刺座は存在しています。刺座がある植物はサボテン、無いものは多肉植物と見分けることができます。

【全てのサボテンは1つの刺座から複数の花を作ることができない】という一般的な誤解があります。現にこれは、ほとんどのサボテン種に当てはまります。花を作った後は刺座はそれ以上花を作ることができなくなります。しかし以下のサボテン種は例外です。

  • レピスミウム クルキフォルメ
  • リプサリス・ルッセリー
  • パキケレウス・マルギナツス
  • ミルチロカクタス

12.サボテンから直接出る水は口に合わない

【砂漠で水も飲めずに遭難した時に、サボテンから水を取り出して渇きを癒すことが出来る】という話を聞いたことがあるかもしれません。サボテンは何リットルもの水を蓄えることがことができますが、その水は口にすることができません。

毒はありませんが、酸やアルカロイドが含まれていてとても苦いです。腎臓が酸を除去してから血液中に水を放出するので腎臓を酷使することになります。この植物はおそらく動物が水源として使うのを阻止するために、刺激的な水を持つという戦術をとっているのでしょう。そうでなければ全ての動物が水を必要とする砂漠の環境では植物は絶滅してしまうでしょう。

13.クリスマスカクタスとサンクスギビングは区別できる

ほとんどの植物は同じ花を咲かせますが、クリスマスカクタスとサンクスギビングカクタスは違います。この2つの植物から咲く花は、素人には同じように見えるかもしれませんが、プロなら簡単に見分けることができます。

クリスマスとサンクスギビングのサボテンは、シュルンベルゲラサボテンの仲間です。ほとんどの植物が緑の植物しかないときに、華やかな花を咲かせるサボテンなので、クリスマスの時期に人気があるのだそうです。11月頃から新年にかけてこの植物の花が優勢になります。

これらを区別する方法は次の通りです。

  • クリスマスカクタスは茎の部分が平らになっていますが、サンクスギビングカクタスは爪のような茎の部分があります。
  • クリスマスカクタスの花はぶら下がっていますが、サンクスギビングカクタスはより直立しているように見えます。
クリスマスカクタス(シャコバサボテン)

14.サボテンは多肉植物である

ほとんどの人にとって多肉植物はサボテンです。多肉植物の中にはサボテンによく似た植物があるためです。しかしサボテンと多肉植物を同義で使用するとさらに混乱します。

サボテンは多肉植物の一種ですがこの2つの言葉を同じように使うのは科学的に間違っています。多肉植物は全て、根・茎・葉に大量の水を蓄えますがこれはサボテンが持っている性質です。多肉植物の多くは棘があるためサボテンと思われがちですが、実は棘が無いのは多肉植物の特徴です。

サボテンと他の多肉植物の大きな違いは、サボテン科の植物は刺座(アレオーレ)を持っていることです。刺座は棘や花が芽を出すサボテンの開口部です。

15.サボテンは必ずしも花が咲くとは限らない

サボテンは顕花植物です。育てる環境とあなたのケア次第で、サボテンが開花するかどうかを決定することがあります。サボテンの開花について影響を与える要素を以下に記します。

  • 照明
  • 施肥
  • 水やり
  • 植え付け方法(種・挿し木)
  • 温度
サボテンは数年で開花するものもあれば35年かかるものもあります

16.サボテンには様々なサイズと形がある

キンエボシ:約90cmまで生長し、光に充てると紫色の果実と白い花を咲かせます。

アストロフィツム(兜丸):2~6cmの間。ウニに似ていて白い毛に覆われています。

ロフォケレウス:約365cmまで生長し、しわくちゃな質感が特徴。

17.サボテンは食料源になる

メキシコやペルーの古代社会ではサボテンを食料源として利用していました。研究者たちは1200年前まで遡って、この地域にはサボテンが存在したことを立証しています。狩猟採集民はサボテンの実を採集し、自分たちのキャンプに持ち帰って食料としたのです。

現代ではサボテンの果実に含まれる精神活性物質が人気を集めています。この物質は認知能力の向上を促進するため、脳にとって有益です。このためインドのイチジクのような種は漢方薬として人気があります。

サボテンの果実は向精神薬で人気があります

18.サボテンは少々の怠慢にも耐える

ほとんどの植物は世話をちょっとでも怠けると枯れてしまいます。信じられないかもしれませんが、何カ月も水をやらずにいたサボテンでも水をやるだけで復活させることができます。

サボテンは常に世話をする必要がない植物のひとつです。そのためガーデニング初心者や、植物の手入れをする時間がない忙しい方にもおすすめです。

19.様々な容器で育てることができる

サボテンは粘土鉢、プラスチック鉢、地面、窓際の箱、トレイなどで育てることができます。容器と土の種類が水はけしやすいものであればどんな容器でも育てることができます。

育てる環境に応じて容器を選びましょう。プラスチック鉢は乾燥した気候の地域でも大丈夫ですが、粘土の鉢は湿った地域に向いています。

サボテンは様々な容器で育てることができます

20.サボテンを荒らさないために

サボテンは6階建ての建物に匹敵する高さまで生長することもあり、その重さは想像に難くありません。1982年、アリゾナ州である男がサボテンを破壊しようと何度も発砲しました。その結果サボテンは彼の上に倒れ、彼は即死しました。その時のサボテンはサグアロという種類で高さは約8.2mもありました。

もしサボテンによる被害を心配するのであれば、そのような問題に対処するために野生生物サービス(Wildlife Service)に電話するのが最善です。サボテンを安全に排除する方法を知っています。

サボテンは他の植物の大部分が決して生き残れなかった、敵対的な環境で生き残ることができます。様々な形・サイズが存在し、その華やかな花は魅力的で多くの過程で鉢植えとして人気があります。


いかがだったでしょうか。サボテンは過酷な環境下でも生き延びることができる丈夫な植物であると同時に、その特異な見た目から人々を楽しませ癒す効果もあります。そんな知られざるサボテンのトリビアを今回はご紹介しました。これをきっかけに多肉植物、サボテンに興味を持っていただければ嬉しいです。。

growstore恵比寿店では、様々な多肉植物やサボテンを取り扱っています。時期によって取り扱っているサボテンの種類は変わってきますので、たまにお店を覗きに来てくださいね!

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