心と体を癒す「園芸療法」とは?

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人類が進化を続け、目覚ましい発展を遂げた科学が支配する現代。物質的な豊かさや利便性は格段に上がりましたが、それと比例して心を病む人たちが多くいる時代でもあります。

そんな時代の中で生まれたのがこの園芸療法です。園芸療法とは一体なんなのか、解説していきます。

園芸療法とは

自然や植物の心地よい刺激を活用したストレス軽減、植物を育てることや植物を用いた創造活動による意欲回復や生活改善を主なねらいとし、医療や福祉分野をはじめ、多様な領域で支援を必要とする人たちの幸福を、園芸を通して支援する活動です。

日本園芸療法学会ホームページより引用 https://www.jht-assc.jp/

つまり園芸療法とは、心や体を病んだ人たちのリハビリテーションとして、ガーデニングをセラピーの手段として利用するものです。そもそも園芸に人を癒す効果はあるのか、日本園芸療法学会は「園芸療法のねらい」について以下のように記しています。

園芸療法のねらい

人は自然や動植物を好み、自然や植物とのかかわりの中でストレスが軽減すると考えられています。

この考えはWilson(ハーバード大学教授)やKellert(イエール大学教授)によってバイオフィリア仮説として提唱されました。

彼らが編者となってまとめたバイオフィリア仮説論文集(1993年)にはUlrich(テキサスA&M工科大学教授)をはじめとする著名な研究者による、裏付けとなる研究成果が紹介されています。

日本園芸療法学会ホームページより引用 https://www.jht-assc.jp/horticulture/

バイオフィリア(Biophillia)とは?

自然界に存在する他の生命体との相互作用や、密接な関係を求める人間の傾向。つまり人間は本能的に自然とのつながりを求める生物であるという説。

人間は元来、自然や動物に対する愛情を持っており、それらと関わることで心の癒しとすることができます。日本においての園芸療法はどうでしょう。

日本における園芸療法

園芸療法が本格的に日本に紹介されたのは、1990年初頭です。

その後、30年が過ぎました。この間には、数多くの研究グループが結成され、医療・福祉関係の施設でも実践が始まり、大学や専門学校で園芸療法を学ぶ機会が創出されるなど、日本における園芸療法に大きな進展がみられました。

日本園芸療法学会ホームページより引用 https://www.jht-assc.jp/horticulture/

日本においては”日本園芸療法学会”が2008年に発足して以降、講演会やセミナーの開催・園芸療法の研究や普及のための事業・”日本園芸療法学会登録園芸療法士”の資格認定を行ってきました。

※日本園芸療法学会以外にも園芸療法士を認定する団体が複数あります。

園芸療法士とは

園芸療法とは、「医療や福祉分野をはじめ、多様な領域で支援を必要とする人たち(療法的かかわりを要する人々)の幸福を、園芸を通して支援する活動」であり、園芸療法士とは、「これを実践するために欠かせない豊かな人間性と高度の知識・技術をもつ専門家」と定義しています。

日本園芸療法学会ホームページより引用 https://www.jht-assc.jp/horticulture/

現在日本では園芸療法士は国家資格ではありませんが、日本園芸療法学会の認定校などで科目や実習が定められており、簡単に取得できる資格ではありません。農業に関する知識に加えて、病める人に対するアプローチやプログラムの組み方などを習得したプロフェッショナルなのです。

園芸療法士は医療、介護、福祉など様々な場所で活躍しており、園芸によるセラピーの専門家であるといえるでしょう。

※日本園芸療法学会以外にも園芸療法士を認定する団体が複数あります。

園芸療法の効果

園芸療法は心と体に対して行うセラピーです。植物や自然に触れ合うことで不安やうつ症状の改善につながると言われています。また園芸は歩く・座る・立ち上がる・耕す・運ぶ・掘るなどなど、様々な動きが必要なため、運動能力や体力の維持・回復へとつながります。習慣化することによって睡眠の改善や新陳代謝の活性化へとつながり、心身ともに健康へと向かっていく効果が期待されています。

さらに屋外で園芸作業を行い、収穫した作物を食べることで五感をリフレッシュすることができます。

  • 視覚:鮮やかな植物の色、自然の美しい景色、四季の変化
  • 聴覚:風の音、虫の鳴き声、鳥の鳴き声、葉が擦れる音
  • 嗅覚:植物の香り、土の匂い
  • 味覚:収穫した作物の味
  • 触覚:土や水の感触、作物の感触

園芸療法の対象

園芸療法の対象は、児童から成人・高齢者まで、疾患や障がいを問いません。近年は、認知症、うつ病、生活習慣病などの予防の観点から、未病の人も対象となります。

日本園芸療法学会ホームページより引用 https://www.jht-assc.jp/horticulture/

園芸療法は特別な植物を育てたり、特別な栽培方法を用いたりするわけではありません。そこに専門の知識を備えた園芸療法士が計画的にプログラムを組むこと以外は、家庭で行っている園芸と大きく変わりないのです。つまり特別でないからこそ対象は広く、様々な疾患や不安を抱えている人に効果があると言われています。

まとめ

園芸療法というと難しそう、どうすればいいか分からないという方も多いかと思います。園芸療法士による専門的な園芸療法を受けたい方は、そういった活動をしている団体に問い合わせてみてください。

当店growstoreは園芸用品専門店ですが、最近サボテンなどの取り扱いを始めたことでスタッフが少し健康になった気がします。植物には人を癒す力があるのです。これをきっかけに是非ご自宅で園芸を始めてみてください。私たちが全力でサポートいたします!

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